2011年5月16日月曜日

レンタル空手家第一期終了

 今日、4年前近く前にはじめたレンタル空手家の中で、一番思い入れのあった某A君の所に「卒業インタビュー」に行ってきました。
 
 彼は1年半ずっと毎週続け、就職してレン空から離れました。

 レンタル空手家のサイトに「体験者インタビュー」のようなものをもっと作ろうと思って1年半前に離れた彼にインタビューに行ったのです。

 相変わらず、あの頃練習していた部屋に彼はいました。

 3週間ほど前にも、会いに行ったのですが、近況などを聞いたり、色々脱線したり、それに何より期間が長いので、終わらなくて、今日も行ったのです。

 彼が変わったのは、何より「親の期待から自由になったこと」「(おそらくはそこから来る)希死年慮がなくなったこと」の二つです。

 それは、空手の後半、彼と、終わった後や、時には稽古もやらずに寝転がって、聞いて、話していたことです。
 自分で人生を選ぶには、経済的に立たなくてはいけない。

 それにまつわる、彼の過去や、僕の過去を、何度も何度も話しました。
 一緒に色んな「職人」を募集していないか電話(僕は横にいるだけですが)をしまくったりもしました。
 結局、仕事(生き方)問題だと、二人の間では了解していたからです。

 そして、1年半、週6日のキツイ「嫌いだった、”全部捨てて壊れてもいいやモード”で毎日行っていた」仕事を続け、数ヶ月前にやめて、今彼は一人の部屋にいます。

 今、ぶっちゃけると彼はひきこもりモードに戻っています。
 すべての問題は短期で解決しないでしょう。
 抱えていて解決に進行していない悩みも続く。
 
 彼の自意識語りや、孤独な頭で考えてドツボに入っている話を聞いていて、僕は思ったのです。
 「レンタル空手家」は終わった。

 彼は格闘技向きの人間です。
 自傷的に、すべてを捨てて、戦場に行くように外に出て「期待しないように最低の状態に持っていって」、傷ついても傷つけられても構わない心で人と会う。
 一人の戦場です。
 だけどその戦い方は格闘技の、実にはじめの一歩なのです(ボクシング漫画のタイトルの意味でもなく)
 
 だけど、僕は彼に動かし続けることはできない。
 結局彼は、たった一人の人生なのだから。

 「卒業インタビュー」と言いましたが、最後にレン空をして1年半たって、「卒業」したのは僕のほうだったのです。

 彼と行う、「自立という幻想」と時々一緒に、ほんの少し触れながら、えっちらおっちら、下がったりよろけたりして、歩く「レンタル空手」は。

 
 「会館にいるし、いつでも来いよ」
 「NPOもずっとやってるし」
 「何か格闘技でも、はじめたらまたメールよこせよ」

 と、僕は言って、握手して「またね」といつのもように言うことをせず、別れました。
 最後に彼は「せっぱつまったらきっと動くんですよ」ということを言っていました。
 おそらく、そうなのでしょう。
 いつも、そうだったように。(レンタル空手家にいきなりメールしてきた時のように)

 
 僕は、彼に、自分から連絡をしないでしょう(文章をサイトに掲載する確認の他には)
 もう僕は「手を離そう」と思ったのです(とっくに、実際には離れていましたが)
 
 そして期待することなく、淡々と日々の淡いに紛れながら待つでしょう。
 「待つ」とすら言えないほどの、99%忘れている態度で。

 いつか、会館に来る日を?
 また、連絡をしに来る日を?
 試合場で、ひょっこり会う日を?
 納得いく大人になったと連絡してくる日を?
 「やっぱりダメだー」と来る日を?
 
 彼が自発的に、こちらに「もう一度」アクセスしてくるまで。

 そう、立ち上げたばかりのレンタル空手家のサイトのメールに、携帯から突然メールを送ってきた、あの、凍えそうな冬の夜の時のように。



 君が気に入ったなら この船に乗れ
 いつかなくした夢が ここにだけ生きてる
 どこへ行ったのか かわいい野の花は
 どこへ行ったのか やさしい魂は
 君が生きるためなら この船に乗れ
 いつかなくした夢が ここにだけ生きてる

 君が戦うのなら この船に乗れ
 胸に信じるものの ためにだけ旅立て
 どこへ行ったのか きらめくせせらぎは
 どこへ行ったのか あかるい歌声は
 君が生きるためなら この船に乗れ
 胸に信じるものの ためにだけ旅立て

 君が男だったら この船に乗れ
 力いっぱい生きて 満ち足りて死のうよ
 どこへ行ったのか ほほえむ太陽は
 どこへ行ったのか ふれあうまなざしは
 君が生きるためなら この船に乗れ
 力いっぱい生きて 満ち足りて死のうよ
 
 


 レンタル空手家の「第一期」は今日を持って、僕の中でだと思いますが、終わります。
 自分が、何もわからず、ひっぱってきたり、押し付けてきたり、がむしゃらに付き合ってきた、「自立という幻想」を一緒に目指せるものだと思ってきた日々は。

 別に、いつもどおり、申し込みは普通にどうぞ。
 
 ただ、「第一期」(何か)が終わったのです。
 僕の中で。

 おそらく、6月には第二期になるでしょう。
 別にその間もやってますが。

 
 人にはいつか、手を離さなければいけない時がある。
 たとえそれが、弟のような不器用な付き合いであっても。
 たとえ「不幸せ」な人生を続けると、無意識に選択し続けている道を行くとしても。
 僕はレンタル空手家の「第一期」から”卒業”します。
 彼と僕の夢と共に。

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