仕事で、メンヘラ時代を思い出すような対談のテープ起こしとまとめをしていた。
当時を思い出すような文をまとめていると、思い出スイッチが少しだけ入った。
あのころ、僕たちはよろよろしながら細いコミュニケーションをたぐっていた。
ひきこもりに入る直前、もしかしたら片足突っ込んでいたころの20歳前後のころ。
僕は一人暮らしをはじめて、ほとんどひきこもりになっていってた。
当時、近所に自転車で一駅くらいのところに、メンヘラと自意識系のカップルが住んでいて、よく呼ばれて、週末とか鍋とか食事とか、遊びに行っていた。
夜が多く、夜道を自転車で飛ばしていた景色が思い出した。
仲間も何人かいて、そのころはもう、アングラなライブハウスやクラブなどのさまよいもほとんどすることもなく、彼らとときどき集まって、カラオケをしたり、部屋でだべっていたりしていた。
同世代の20代だった。
彼女の調子が悪く、お守りに呼ばれた時もあったし、週末ごとなんでか呼んでくれていた。
なんとなく気に入られてたと思うし、色々、ちょっと難しいことを話したりしていた。
恋愛のことや、社会学のことなど。
泊まることもあったり、僕は近いから、帰ったりしていた。
それ以外の日は、ほとんどひきこもりだったと思う。
だいたい一年くらい続いたのだろうか。
たまってる子たちの中に、知ってる人どうしの中でカップルができてたり、別れてたり「あいつ来るの?」とか電話したりしていた。
たしかあのころは、「PHS」だった。
ちょっとした事件も起きたり、メンヘラ以外の人も遊びに来たりしていた。
その中の人と、仲良くなったり、まあいろいろあったりしていた。
ある人と、ちょっといろいろあって、別れるために、僕はその場所や彼らと離れることにした。
そうしないと続いてしまうような気がしたから。
だから、だいたい1年弱くらいだったろうか。
それから、完全な一人のひきこもり時代に入った。
あのころの彼らとは、誰一人連絡はとれない。
死んでしまった人も何人かいる。
葬式でだけ、顔を合わせてしまったりもしていた。
そして、どんどん離れていった。
引きずられそうだったし、僕は変わりたかったから…。
完全に一人になって、彼らのことを思い出すことはあったが、戻るつもりはなかった。
でもいつか、強くなって再会したいと思っていた。
完全に断たないと、行動に動けない時がある。
断ち切らないと、前に進めない時がある。
それから、彼らの面影を背負いながら、強くなりたいと僕は思って、少しづつ動いていった。
いつか「いつか連絡はとれるだろう、僕が、生まれ直し、生き直すまでは…」と思っていた、彼らの連絡先も、住居もわからなくなってしまった。
なんとなくだが、もう会わないだろう気がしている。
だけど、さっきふと思ったのだった。
彼らといた日々は、孤独だった僕を生きさせるものだったのだろう、と。
それは実際に一緒にいた頃の時も。
あの日々もあったから、今僕も生きてきたのだろうと。
そう思えば、死んでいった彼らも、僕を生きさせるものなのだろうと。
あの頃、カラオケで自意識彼氏がスガシカオをよく歌っていた。
彼や彼女は今、何をしているのだろう…。
僕はここにいるよ。
『そばにいて そばにいて そしてぼくの味方になって
許さない 許さないけど 君にいてほしいよ…』
「Thank You/スガシカオ」(ニコ動)
遠藤さん文章うまいですね。
返信削除まるで小説を読んでいるように
引き込まれました、